製品
量子コンピュータは、個々の状態を順次調べる古典的な方法ではなく、多数のもつれた量子状態を同時に調べることで、大規模な並列計算が実現できます。
特に、これまで解決できなかった問題や、計算に時間がかかる問題など、多様な応用が期待されます。特に、最適化、非構造化検索、材料シミュレーション、物流などの分野で重要です。
近い将来、量子アニーラー、シミュレーター、そして50から数百の量子ビットを持つNISQと呼ばれるシステムが、有用かつ商業的に実現可能であることが示されると思われます。NISQが、汎用機として、あるいは特定のアプリケーションの機能として、古典的な計算機と比較して、量子的な優位性を示すかどうかは、まだ未確認です。
量子ビットの有力候補の多くは、動作とノイズ源の排除のために低温環境を必要としています。これらのノイズ源は、チップ内外の両方で、デコヒーレンスとエラーレートの上昇を引き起こします。完全な誤り訂正型の量子コンピュータを実現するには、100万量子ビット以上が必要とされていますが、これはまだ数十年先のことです。この間、NISQマシンを実用化するためには、低温性能とエラー回避が重要なテーマとなります。.
演算に必要な低温での量子ビットの1と0のエネルギーレベルの分離は、通常GHzの周波数帯であり、演算の制御に必要なパルスは慎重に成形されたナノ秒のパルスが必要です。パルス形状の精度と正確さを維持することは困難であるため、低ノイズ、広帯域減衰の入力ラインと低インピーダンス、低ノイズ増幅の出力配線が確保された拡張用の冷凍機が必要になります。低ノイズ性能、モジュール性、長期信頼性は、当社の量子計算用低温配線ソリューションの特徴です。
材料モデリング
材料シミュレーションと同様に、創薬、タンパク質畳み込み、触媒作用、電池のモデリングなどが量子コンピューティングを利用して取り組むべき問題の候補であると考えられています。モデリングにおいて古典計算よりも量子計算に適した計算技術を駆使して、計算の速度と精度の両方で調査可能なシステムの範囲を広げます。
最適化
物流、医療、金融などの分野で広く使われている多くの問題は解析的に説くことが出来ない問題です。問題の変数が増えると、古典的なコンピューティングでは直列性が失われて計算時間が膨大となります。270変数を取り扱う最適化の問題では、答えはすでに宇宙にある原子の数を超える数になります。量子コンピューティングの並列性は多変数の最適化が可能であり、フライトスケジュール、交通流、がんの放射線治療などのアプリケーションに影響を与える可能性があります。
データベース検索
構造化されたデータセットによるリレーショナルデータベース検索は、ハイストリートからCERNまで、ビッグデータアプリケーションの必須条件です。
テキスト、マルチメディア、言語などの非構造化データセッ
を検索することは困難であり、サイズによっては不可能です。
量子コンピュータは、最適な非構造化検索を実現する可能性を持っています。
グロバーアルゴリズムを用いた検索技術。セキュリティや医薬品開発候補検索分野です。
セキュリティー
量子暗号がない場合、量子コンピュータは、暗号化機構に脅威を与える可能性があります。古典的な機械では解読に何百万年もかるRSA-2048暗号は、2000量子ビットとGHzクロック速度を持つ量子コンピュータでは数日で解読できるようになります。この脅威に対抗するため、量子計算の進歩にもかかわらず安全性を保つことができる非計算機的なセキュリティプロトコルを確立するために、量子技術が採用されています。
欧州の量子フラッグシッププログラムであるQMiCSの一部では、弊社は開発をサポートする重要なパートナーです。量子マイクロ波ネットワークにより、2つの超伝導量子ノード間において量子通信プロトコルが可能になります。
将来的には分散型量子コンピューティングやマイクロ波を用いたレーダー型量子センシングへの応用が期待されています。