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NanoScience | Blog

Lee Osheroff Richardson賞の受賞者で現委員会メンバーの Paula Giraldo-Gallo 教授とのQ&A

Paula Giraldo-Gallo 教授は、新規超伝導体の理解への貢献が認められ、2019年 Lee Osheroff Richardson賞を受賞して以来、研究ポートフォリオを拡大・多様化させ、室温でのマルチフェロシティー研究にも取り組み、魅力的な成果を挙げています。

今年からPaulaが科学賞委員会の一員となり、次の世代の優秀な才能の最新の貢献を探求することに興奮しています。私たちはPaulaと対談し、彼女の魅力的な研究、アメリカからコロンビアへの移住が彼女の研究対象を根本的に変えた経緯、若い科学者のキャリアにおけるLee Osheroff Richardson賞のような科学賞の重要性、そして委員会に加わることの意味について教えて頂きました。

2019年のLee Osheroff Richardson賞にノミネートされた研究について教えてください。

博士課程で高温超伝導材料と価数飛び越し元素が超伝導をどのように高めるかについてを研究した後、ポスドクで強磁場の研究室に移りました。この間、私は銅酸化物超伝導体を扱い、100テスラまでの磁場におけるこれらの材料の奇妙な金属相を研究しました。この研究中に、奇妙な金属相の磁気抵抗が相当な磁場まで線形であることを発見したのです。この発見と極限状態におけるさまざまな新奇超伝導体の研究によって、私はLee Osheroff Richardson賞にノミネートされました。

受賞後、研究はどのように進んでいますか?

受賞後、私はコロンビアのロスアンデス大学に移りました。アメリカから発展途上国に移ったことで、チャンスや利用可能な資源に顕著な違いが生じ、私は研究ポートフォリオを多様化させる必要がありました。極低温や強磁場のような極限状態を作り出すことは非常にに難しく、私の研究は常温物理学も含むようになりました。

その結果、遷移金属ジ-カルコゲナイドのような室温での低次元化合物に関する我々の研究において、非常に興味深い結果を得ることができました。私たちは最近、この化合物群における室温のマルチフェロシティーに関する最初の発表を行いました。ここでは、極限条件下での物質研究においては一般的に知られているものの、低次元半導体の分野ではあまり用いられていない手法を用いました。私のグループにとって、それらの手法を新しい分野に導入することにより、大きな成功を手にすることとなりました。

これらの経験により、得られる環境への順応性とチャンスを最大限に生かすことの大切さを学びました。このように研究ポートフォリオを多様化させることで、これまで挑戦しなかったようなことを発見することができました。

入賞はどのような点で目標達成に役立ちましたか?

この賞のおかげで私は国際的な知名度を得ることができました。大学は若い科学者が国際的なコミュニティを発展させることを望んでおり、Lee Osheroff Richardson賞のような科学賞は、まさにそのために最適でした。また、賞は雪だるま式に増える傾向があります。ひとたびスポットライトを浴び、国際的な舞台に立てば、より多くの人があなたの研究に注目し、より多くの評価を受けるようになります。このことがあなたのキャリアに与える影響は計り知れません!

私は最近、現在の大学で終身在職権を取得しましたが、その決定において、この賞が本当に重要な要素であったことを知っています。委員会は、これらの賞が与える国際的な知名度や、教授が受賞歴を持つことを教育機関が望んでいることを認めてくれました。ですから、科学賞、そして科学賞のスポンサーを務めるオックスフォード・インストゥルメンツが、私のキャリアに与えてくれた機会とサポートに非常に感謝しています。

今年から選定委員会に参加されるとのこと、おめでとうございます。この新しいポジションで最も楽しみにしていることはどんな事ですか?

委員会の一員になれたことを大変光栄に思っています。私は、若い科学者たちの間で科学賞を普及させることに情熱を注いでおり、若い才能が今何をしているのかを聞き、見て、深く掘り下げることに非常に興奮しています。私も彼らから学び、賞の候補から生まれる興味深い物理学について、間違いなく委員会の皆さんと素晴らしい議論ができると思っています。

また、この場を借りて、応募を奨励したいと思います。自分の研究は重要ではない、あるいはこのような大きな賞に値しないと感じることもあるでしょう。過去の受賞者のカリキュラムに謙虚さを感じるかもしれません。しかし、そのようなことで躊躇してはいけません!あなたの研究は重要であり、委員会からも高く評価されるはずです。そのような評価を受け、スポットライトを浴び、メディアや一般大衆に自分の研究について話すことは、あなたのキャリアに大きな違いをもたらすでしょう。このような機会は、科学者であれば誰しもがもっと活用すべきものです。ですから、頑張ってどんどん応募してください!

Professor Paula Giraldo-Gallo コロンビア、ロス・アンデス大学物理学准教授、量子材料研究グループリーダー

Professor Paula Giraldo-Gallo

Lee Osheroff Richardson賞受賞者および委員会メンバー

"アメリカから発展途上国に異動すると、チャンスやリソースに顕著な違いがあるため、研究ポートフォリオを多様化しなければなりませんでした。"

"私は最近、現在の大学で終身在職権を獲得しましたが、この賞はその決定において本当に重要な要素でした。"

"若手科学者にとっては、この機会を最大限に活用すべきです。ですので、皆さんどんどん応募してください。"