オックスフォード・インストゥルメンツ・ナノサイエンスの超電導マグネット入門

ナノサイエンスの主席マグネットエンジニア、Daniel Strangeとシニア開発エンジニア、Ben Bryant

オックスフォード・インストゥルメンツ・ナノサイエンスの歴史は超電導マグネット作成の歴史でもあります。創設者のマーティン・ウッドとオードリー夫人が1961年にマサチューセッツ州ケンブリッジで開催された第1回強磁場国際会議に出席したとき、超電導マグネットの可能性をめぐる科学者の話題は高みに達していました。単純な線材と液体ヘリウムのコイルで、最大30キロガウス以上の磁場を発生させることができることが示されており、この会議で2人の創業者は、当時設立2年目だったオックスフォード・インストゥルメンツにこの新しい超伝導技術を取り入れることを決めたのです。 

初めて市販された超伝導マグネットは、そのわずか1年後にオックスフォード・インストゥルメンツ社によって製造されました。サー・マーティンは、マグネットの設計から手巻きまで自分で行い、車のバッテリーとレオスタットで電力を供給しました。そして1971年、最初の超伝導MRIマグネットがここで製造され、その8年後にはNMRマグネットが広く市販されるようになりました。

60年以上の経験を持つオックスフォード・インストゥルメンツは、包括的なマグネット部門を開発し、ヘリウム再凝縮式、無冷媒式 Cryofree®、および「ウェット」液体ヘリウム冷却式マグネットを含むソレノイド、スプリットペア、およびベクトルマグネットを設計しています。当社のソレノイドマグネットシステムは、Proteox、Teslatron、Integraシステムと互換性があり、4.2Kで最大20Tの磁場を達成することができます。当社のスプリットペアマグネットは、最大15Tの磁場を達成し、中性子散乱、磁気輸送測定、低次元物理学、スピントロニクス、高磁場磁化、光学分光などの用途に使用されています。当社のProteoxとTeslatronシステムに統合されているベクトル回転マグネットは、最大3軸の磁場回転が可能です。

Sir Martin Wood testing the first superconducting magnet

Oxford Instruments' split pair magnet

固体NMR、EPR、ESRから、スプリットペアマグネットを使った実験的X線アプリケーション、ダークマターや素粒子物理学の研究まで。私たちのマグネッは、鉱山の地下深く、世界中のほとんどすべてのビームライン施設、天文台の山の頂上、さらには欧州宇宙機関によって宇宙に送られたこともあります。

オックスフォード・インストゥルメンツのマグネットは、数十年にわたる開発と技術的専門知識に基づいて設計されています。そのため、信頼性、品質、性能において比類のないものとなっています。エネルギー密度が高いため、当社のマグネットは質量が小さく、全体的に運用コストが低くなっています。また、質量が小さいため、熱容量が小さいため冷却が早く、実験の周期が早くなり、生産性と価値を最大化することができます。すべてのマグネットは工場でテストされ、クエンチフリー運転を保証するために特性評価されています。アクティブ磁気シールドのオプションにより、コンパクトな実験室環境でも安全にシステムを稼動させることができ、これらのシールドは実験目的に応じた低磁場領域を与えるように最適化することも可能です。オックスフォード・インストゥルメンツの社内設計能力により、システム全体をオックスフォード・インストゥルメンツで作成することができます。これにより、マグネットと極低温装置間の最適化されたシームレスな統合が保証され、合理化された顧客体験と信頼性の高い正確な実験を提供します。

超伝導マグネットと極低温システムに関する深い専門知識とエンジニアリングの経験が、カスタムメイドのソリューションを可能にします。お客様のニーズに対する柔軟性と適応性は非常に重要です。どんな企業や機関でも、予算、用途、実験パラメーターが同じということはありません。ヘリウム再凝縮マグネット、Cryofree®マグネット、湿式液体ヘリウム冷却マグネットは、この点を念頭に置き、お客様、アプリケーション、マグネットの設計要件に最も適したソリューションに統合することができます。マグネットボアサイズも、一般的な52mmから90mmの範囲を超えてカスタマイズ可能です。専門チームの支援により、お客様は優先順位と予算に応じてシステムの仕様と設計を変更し、実現可能で成功するプロジェクトを開発することが可能です。

Oxford Instruments’ Vector rotate magnet