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NanoScience | Blog

SCALINQ: 量子コンピュータ用プロセッサ開発の商業化ソリューション - Q&A

SCALINQとの対談

私たちは、量子エコシステム内の企業との継続的な関わり合いや協力関係の一環として、彼らがどのように量子を捉えているか、また、さまざまな極低温システムにどのようにソリューションを適用しようとしているかについて、お話を伺いしました。

ここでは、SCALINQの最新の開発に関して、また、同社の製品がオックスフォード・インストゥルメンツの希釈冷凍機Proteoxシリーズなどの低温装置にどのように組み込まれるのかについて尋ねました。

量子エコシステム企業Q&Aの第1回目は、SCALINQのZaid Saeed氏とLisa Rooth氏です。


SCALINQをまだご存じない方のために、まずはSCALINQとはどのよう会社なのか、そして量子力学のお客様をどのようにサポートできるのか、というところからご説明します。

量子コンピューティングは、概念実証から実用化へと移行しつつあります。量子コンピューティングのハードウェア面は、確かに最近のコミュニティが取り組もうとしている大きな課題の1つです。商業ベースに乗せるには、量子ビットチップの周りに、より最適化されたハードウェアを構築する必要があり、SCALINQはまさにここで活動しているのです。私たちは、超伝導量子デバイスの効率的なアップスケールを促進するために、高密度な極低温コンポーネントを開発しています。

SCALINQが提供するソリューションについてお聞かせください。

今日、SCALINQは大学、研究機関、商業プレイヤーに対して、量子ビットの数やチップのサイズに関係なく、量子デバイスをホストするための適応性の高いサンプルホルダ(LINQER)を提供しています。

磁気・赤外線シールドや高品質な信号伝送など、高性能でありながら、低コスト・高スペース効率を実現することに注力しています。高密度配線を可能にする独自のコネクタと独自のシールド構造により、お客様のニーズに合わせて8~300本のRFラインを搭載したサンプルホルダを開発することができています。現在、標準仕様として、16本、36本、52本、80本の4種類のモデルを用意しています。

現在のNISQの時代には、調整可能であることが重要です。研究者によって問題解決に注力する姿勢が異なるため、一律に対応することは現状ではできません。そのため、私たちは柔軟性を念頭に置いて設計し、リードタイムを犠牲にすることなく、お客様のニーズに基づいてソリューションを調整するよう努めています。

これらの装置は、オックスフォード・インストゥルメンツのProteox希釈冷凍機と互換性がありますか?

はい、互換性があります。量子コンピュータの大きな部品はまだ標準化されていませんが、希釈冷凍機は最近標準的な設計になり始めています。SCALINQは、オックスフォード・インストゥルメンツのProteox希釈冷凍機などに適したマウントブラケットを開発しました。また、業界と密接に連携し、今後発売される冷凍機やコンポーネントと互換性のある設計を実現しています。

オックスフォード・インストゥルメンツのような企業との連携は、量子エコシステムにおいて、どのようにお客様をサポートできるのでしょうか?

SCALINQでは、量子コンピューティングを実現するためには、共同研究開発が重要であると考えています。密室での開発では、車輪の再発明をすることになるだけなので、やめるべきです。その代わりに、私たちは量子コンピューティングの開発における様々な分野の専門知識を生み出すために、より多くの共同プロジェクトに取り組みたいと考えています。オックスフォード・インストゥルメンツのような企業との協力は、透明性のある研究開発プロセスをサポートし、技術を前進させるための洞察を共有することができるのです。

また、この分野に新規参入するプレイヤーも多く、これは素晴らしいことです。しかし、彼らは何年もかけて開発したものを頼りにしているわけではなく、検証済みで実装が簡単なソリューションを探しています。私たちは最先端のソリューションを開発していますが、こうした新しいチームや研究所が、希釈冷凍機との統合などの共同作業を通じて素早くスタートできるよう、プラグアンドプレイ(研究用)ソリューションを作ることの重要性も理解しています。

量子テクノロジー研究においてSCALINQソリューションがどのように活用されているか、エキサイティングな論文や成果があれば教えてください。

当社の共同設立者の一人であるSandoko Kosenは、Chalmers University of Technologyの他の研究者とともに、フリップチップ集積型超伝導量子プロセッサーに関する論文を発表しました。現在、Chalmers University of Technologyのチームと共に、LINQER80に搭載される次世代のスケールアップしたマルチ量子ビット・プロセッサの開発に取り組んでいます。

SCALINQの今後の展開についてお聞かせください。

私たちはすでに、室温から量子ビットへの信号伝送をよりコントロールしやすくする次世代サンプルホルダーの開発に着手しています。さらに、サンプルホルダー以外の極低温ハードウェアのニーズにも対応し、ポートフォリオを拡充するためのソリューションにも取り組んでいます。

LINQERについて、またプロダクトシートはこちらでご覧いただけます。

WAQCTでの私たちのルーツについてはこちらをご覧ください。


SCALINQ社について

SCALINQは、超伝導量子コンピュータのための高密度ハードウェアソリューションを提供するスウェーデンの企業です。検証済みで高性能、かつ使いやすいソリューションを通じて、量子コンピュータコミュニティの開発加速を支援しています。同社の最初の製品であるLINQERは、チップに依存しないサンプルホルダーで、100ビット以上の量子ビットを簡単に扱えるように設計されています。LINQERは、適応性のあるマウントブラケットと小さなフットプリントにより、Proteoxシリーズの希釈冷凍機を含む様々なクライオスタットにフィットします。ユニークなデザインにより、ユーザーはコネクタの数に関係なく、数分でサンプルを変更することができます。詳細については、以下をご覧ください。:https://www.scalinq.com

Lisa Rooth

Zaid Saeed

Harriet van der Vliet
Interviewer