製品
Matt Martin
Oxford Instruments NanoScience マネージングディレクター兼エンジニアリングディレクター
John Burgoyne博士
Oxford Instruments NanoScience 製品・マーケティング責任者
量子コンピュータ用大型モジュール式希釈冷凍機に特許が付与されました。
2025年6月3日、米国特許第12,320,557 B2号は、複数の直方体型希釈冷凍機システムの相互連結についての特許あり、真空容器を連結して単一の連続した真空空間を形成するだけでなく、希釈冷凍機の複数のコールドステージも連結して拡張されます。このユニークで今では特許で保護されている技術によってミリケルビン温度を含む数平方メートルの巨大な低温空間を提供し、室温を介することなく量子プロセッシングユニット(QPU)間の相互接続を可能にします。
弊社英国本社の低温・超電導のマネージング・ディレクター兼エンジニアリング・ディレクターであるMatt Martinは、この画期的な技術が大規模量子コンピューティングに及ぼす重要性を次のように説明しています。
超伝導量子ビットデバイスの量子コンピューターのスケールアップには、量子プロセッサの動作に10~20mKの極低温を連続的に維持する必要があり、希釈冷凍機の使用が不可欠です。従来の円筒形設計の希釈冷凍機は、エラー訂正が可能な誤り耐性量子コンピュータ(FTQC)に必要な量子ビット数にスケールアップできないことが認識されています。データセンターにも対応したコンパクトな設置面積と希釈冷凍機の冷卻ステージへのアクセス改善を目的として、非円筒形幾何形状が提案されてきました。しかし、正方形、長方形、または六角形の外形の幾何形状自体は本質的には問題解決には至りません。私たちは、ProteoxQXを開発する際、当初から1,000量子ビットを超える量子ビットデバイスに対応するため、効率的なフットプリントと相互連結を両立する設計を採用しました。
その通りです。 4月に最初の2台のProteoxQXシステムの導入を発表しました。 これらの大規模なシステムをお客様に納品することは、エキサイティングなマイルストーンでしたが、これは始まりに過ぎません。
はい、その通りです。システムの拡張性はProteoxQX設計の主要な特徴の一つで、高さ3m超、幅1.5m超のフルアクセスが可能な作業スペースを備えています。その四角い形状により、システムを非常に簡単に連結して単一の連続した真空空間を形成できます。さらに、内部の低温プレートはニーズに応じて構成可能です。例えば、コールドプレートを接続して大きな連続ミキシングチャンバーにすることも、別々に制御されたミキシングチャンバー空間を維持することも可能です。この構成の柔軟性により、ProteoxQXはユーザーのQPUが拡大するにつれて連結して拡張でき、技術進化に追随が可能です。
この特許は、量子コンピューティングのスケールアップの課題に対応する革新的なソリューションを設計する我々チームの能力の証と考えています。私はこのチームを非常に誇りに思っていると同時に、量子スケーリングとFTQCのロードマップに私たち独自のソリューションをお客様にご提供できることを、さらに喜ばしく思っています。
この特許は、当社が提供するモジュール式システムの革新的なアプローチを捉えています。希望に応じてシステムサイズを段階的に拡大できるため、資本支出の計画を管理することも可能になります。
このモジュール式設計は、熱シールドの一部のみを撤去するだけで特定のモジュールにアクセスできるなど、ProteoxQXのメンテナンス性を向上させ、量子コンピュータにとって重要なダウンタイムの短縮に寄与します。
これらすべてが、将来の量子コンピュータサーバーファームを実現するための重要な要素であると私たちは考えています。
Proteox希釈冷凍機シリーズ全体の重要な特徴は、QPU入出力配線を搭載するサイドローディング式二次インサートにあります。小型モデルのProteoxMXには2次インサートが1つ搭載されており、量子ビットと初期QPUの開発に適しています。中型サイズのProteoxLXは、2つの二次インサートを備えているため、実際に複数の実環境データセンターで実証されているように、スケールアップと実装の次のステップを可能にします。また、これらのサイドローディング式二次インサートは、配線やその他の低温部品の事前特性評価と修正を可能にしQPU量子ビット数の増加に応じて検証済みの配線をシステム間で移行することで、開発から実装までのシームレスな拡張を可能にします。ProteoxQXプラットフォームもこのモジュール式拡張性に従い、4個または6個の取り外し可能な2次インサートを備え、1,000量子ビットを超えるQPUに対応する拡張性と柔軟性を提供します。